以前ほど、テレビ視聴にこだわりがなくなったのは、地上波やCSがデジタル放送になってから録画周りの環境が複雑化した事が原因の1つと考えている。視聴デバイスが多様化しているにもかかわらず、結局はリビングのテレビでしか見れないというのも苦痛だ。もちろんDLNAには対応しているが、DTCP-IP非対応のクライアントでは再生出来ない事と、レジューム状態が共有されない事によってリモート再生の使い勝手がいまいちよくない。どのデバイスでも再生出来て且つレジューム状態がその全てで共有される、そんな環境が理想的だ。それほど夢みたいなものではなく、例えばkindleの電子書籍などはそういう環境を普通に実現している。
昨今、4kテレビやandroid tvといった製品が具体化する中で、そろそろ10年を越えるテレビの買い替えも視野に入ってきている。AVアンプがsony製なのでテレビはBraviaかなあと思いつつ、レコーダーをどうするか悩んできた。シームレスな連携を考えるとsonyで揃えておくのが無難なのか。今シーズンのsony製レコーダがなかなか発表されなかったのだが、先月やっと情報が出てきた。結構待たされた割には、良くも悪くもわりと標準的な製品。上記の問題を多少は軽減するような機能に期待していたので、正直それほど魅力を感じなかった。今後の録画環境を改めてゼロベースで検討し直す。
nasneの人気も知っているので、そういうものを視野に入れて検討。例えばPS3やPS4のPCによるリモートプレイを利用するとか。しかし、なかなか理想的な環境を見つけ出す事ができない。悩んだ挙げ句、唯一実現できそうだったのがPCのチューナーデバイスによる録画環境。あるチューナーデバイスを使って録画すると、お気に入りのkodiというメディアプレーヤで再生可能となる。このkodiでの再生が適えば、自分の感じているストレスは解決する可能性が高い。
kodiは多くのプラットフォーム向けに用意されているので、windows/android/mac/iOS辺りであれば問題なく動作する。特に期待している機能が、MySQLデータベースによるビデオライブラリ情報の共有化である。この機能を使うと、端末の視聴情報がリモートにあるMySQLに格納されるため、その情報を別の端末でも参照する事が可能になる。windowsで20分まで見たという情報を、android側で参照したときにも保持されるのだ。更にandroidで30分まで見れば、もちろんwindows側でも30分まで進んでいる事になる。リモート再生環境におけるレジューム状態の共有がこれで実現できるようになる。まだ録画環境は何も整っていないが、まずはこの機能が想定通りに動くかどうか試してみた。
とりあえずMySQLの準備から。サーバは何でもいいと思うけど、うちはCentOSが標準なので、それ前提で。もともとDBサーバがあり、そこに相乗りさせる形なのでインストールは省略。専用のユーザーを作成して、権限を付与しておくだけ。DBは接続時に勝手に作成される。以下のような感じ。
ssh root@db1
mysql -uroot
CREATE USER 'kodi' IDENTIFIED BY 'kodi'
GRANT ALL ON *.* TO 'kodi';
flush privileges;
次にkodiの準備。インストールは大して難しくないので、適当にぐぐって入れる。日本語化に罠があるので注意。先にフォントを変更する必要がある。SYSTEM>Settings>Appearanceと進んで、Fontsを『Arial Based』に変更。続いてInternationalを選んで、Languageを『Japanese』に変更でOK。これで一旦kodiを終了。ビデオライブラリのMySQL化を行うため、advancedsettings.xmlを用意する。windowsの場合は、ユーザーディレクトリ配下にある『AppData\Roaming\Kodi\userdata』に配置する。内容は以下の通りで、IPアドレスやユーザーは先ほど用意したMySQLサーバのもので。ホスト名で指定したら動かなかったので、大人しくIPアドレスで。
<advancedsettings>
<videodatabase>
<type>mysql</type>
<host>192.168.0.1</host>
<port>3306</port>
<user>kodi</user>
<pass>kodi</pass>
</videodatabase>
<musicdatabase>
<type>mysql</type>
<host>192.168.0.1</host>
<port>3306</port>
<user>kodi</user>
<pass>kodi</pass>
</musicdatabase>
<videolibrary>
<importwatchedstate>true</importwatchedstate>
<importresumepoint>true</importresumepoint>
</videolibrary>
</advancedsettings>
どこか間違った設定をしているとkodiの起動がやたら遅くなる。うまくいくと今まで同様速やかに起動する。とりあえず検証用に何かしら動画をkodiで再生しておく。sambaでもdlnaでも参照出来るので、ビデオで参照フォルダを登録して適当に再生。この再生位置が次に用意するデバイスで共有出来れば期待通り。
もう1台のデバイスはPCでもよかったんだけど何となくモバイルで。手元のandroidはxperia z2を使う。kodiの導入はいまや非常に簡単で、Playストアで普通に検索してインストールするだけ。日本語環境のセットアップが終わったら、一旦落として先ほどの設定ファイルを準備する。androidの場合は『/Android/data/org.xbmc.kodi/files/.kodi/userdata』というパスに配置する。自分の場合は内部ストレージ側にあった。設定が正しくされていれば、すんなり起動する。
検証用に再生したフォルダをこちらにも登録して、動画ファイルの一覧を参照する。先ほど再生したファイルのみ頭に三角マークが付いていて再生した状態になっている。そのファイルをクリックすると、先ほど停止した位置からの再生を促される。kodiによるレジューム状態共有はうまく動作するようだ。windowsとandroid間できちんと共有できれば、自分としては特に問題はない。ただし、同じバージョンのkodiでないと動作しないと言っているので、その点だけは注意を。視聴環境側は何とかなりそうなので、次回からは録画環境を検討していく。