自分にとって、ネットオークションは割と身近なものだった。にもかかわらず、それほど利用機会がなかったのは、あくまで一般市場で入手しづらいものの購入場所という位置付けでしかなかったからだ。価格的観点でヤフオクを中心的に使いかけた時期もあったが、銀行振込による先払いという決済方法に抵抗あって数回の利用で使わなくなってしまった。
その考えが変わるきっかけとなった理由の1つがかんたん決済の手数料無料化だ。これでクレカによる決済も含めて、ヤフオクが安心して使える下地が大分揃ったと感じた。もちろん先払いによるリスクは相変わらず残るが、それでも価格間違いや指定口座間違い等の決済周りの事故を大きく減らしてくれるだろう。ヤフオク利用のハードルを大きく引き下げた今回の変更は、さすがYahoo!と言わしめる変革だ。
もう1つの理由は最近進めていた家計の財政改革で、還元ポイントを最大化しようと試みていたこと。還元ポイントは基本的に数%のオーダーで節約を目指すもの。仮に200万円の決済額があったとすれば、そこから2~10万程度の還元が期待値だ。クレカを駆使したり、ポイントサイトを駆使したりして、年間10万程度を稼ぐくらいならネットオークションで不用品を売る方が遥かに期待値は高い。つまり家計の財政改革を進めるならネットオークションこそ避けては通れない道なのだ。
という訳で、落札でしか利用していなかったヤフオクを出品でも使えるようにする。まずは解約していたyahoo!プレミアムを再開して出品できる状態に変更。次に配送方法の検討。これが一番心理的負担が大きかった。似たような出品物の配送方法が何かを調べ、自宅近辺の利便性も考えて選択肢を探る。クリックポスト、レターパックプラス、はこBoon辺りが使い易そう。
クリックポストは164円と安価で厚さ3cm以内に抑えられるなら配送可能。データ連携はしてくれないが、PCで送付先を編集して専用ラベルをプリントアウトできるのもよい。あとはポストへ投函するだけで、追跡サービスまで付いている。レターパックプラスは510円で4kg以内のものであれば厚さを気にせず、専用のレターパックに入るものであれば何でも送れる。はこBoonは送付先をデータ連携してファミマでラベルをもらって張るだけ。料金は重さのみ気にすればよく箱のサイズは自由。宅急便やゆうパックと比較しても価格競争力は高い。慣れるまでは、こういった追跡サービス付きの配送を利用してトラブルは回避しておきたい。
こうして準備を整えた上で出品者デビューを果たした訳だが、捨てるくらいに思っていたものが換金可能になるのは本当にありがたい。お陰でネットワーク機器のように使ってみないと要件が満たせるかどうか怪しいものにも手を出し易くなった。仕様が異なれば売ってしまえばよいだけだから。捨てる前提でダウンロード版を買えばよいと思っていたゲームも、気軽に買って飽きたら売ればいいという考えに変わった。その差額のみで商品を楽しめるというのは、購入行為そのもののハードルをも下げてくれる。
正直、オークション利用による思考の変化は自分の人生の中でも大きな転換の1つと言えるくらいショッキングなものだった。そもそも大して知りもしない商品を定価で買い切るというのは一体どういう意味を持つのか考え直させられる。シェアリング・エコノミーなんて言葉も聞こえ始めているが、オークションも定価を数人で分担するという意味では同義のものだろう。詰まる所、個々の商品において定価分の原価を償却しきるほど使える人、あるいは物なんて一握りなのかもしれない。こういう流通の変革が、定価販売の在り方などを見直すきっかけになってくれると嬉しい。