ウエストのウォリアーズとスパーズ、圧倒的な2強の連勝に引っ張られたレギュラーシーズン。誰しもがこの2チームによる優勝争いを予想していたのではないだろうか。東の雄キャブスはHC解任による立て直しで、プレーオフまでにはとても体制が整わないと思われた。しかし、そのプレーオフ、終わってみれば最後まで予想を裏切るとんでもない展開だった。まず驚かされたのが、カンファレンス・セミファイナルでのスパーズ敗退。ウォリアーズの快進撃に隠れてしまったとはいえ、レギュラーシーズン67勝という好成績だったスパーズ。それを破ったのはウエスト3位のサンダーだ。
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NBA最強デュオの呼び声高いデュラントとウエストブルックの躍動感溢れるプレイがスパーズを切り裂く。スパーズ自慢のディフェンスはウエストブルックのドライブに対応できない。ウォリアーズを意識しすぎた結果、サンダー対策が充分でなかったのだろうか。最も楽しみにしていた、最強の矛ウォリアーズと最強の盾スパーズの試合を見ることは叶わなかった。勢いに乗るサンダーはカンファレンス・ファイナルでウォリアーズに殴り込み。まさかの3勝1敗で逆にウォリアーズを追い詰める。オールスターくらいから化け物っぷりを飛躍させてきたウエストブルックをもう誰も止められないかのように思えた。サンダーはもはやデュラントでなくウエストブルックのチームであるという事実を印象付けた。
しかし、悲劇はここから始まる。第5戦ではそれまでのサンダーの勢いに陰りが。アウェイだったので仕方ないかもしれないが、デュオのターンオーバが目立って惜敗。第6戦もサンダーホームにも拘らず3ポイントが入らない。ドライブ中心の攻めで何とか繋ぐが大事なところでターンオーバ。一方のウォリアーズは終盤で得意の3ポイントが連続して勝負あり。レギュラーシーズン負けなしだったウォリアーズが勝負際の強さを見せつけた。6戦目を取れなかったサンダーは頼みのデュオが失速。リバウンドで流れを呼び込んでいたアダムスをあざ笑うかのような頭越しの3ポイントを次々と沈められ、3勝1敗からの敗退となってしまった。最後の最後、踏ん張り切れなかったのが非常に残念だが、一方的と思われたプレーオフの展開をサンダーの活躍が大いに賑わせてくれた。
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イーストはこれもある意味予想外なくらいの快勝でキャブスがファイナル進出を決めた。ファイナルのカードは2年連続となるウォリアーズvsキャブス。気持ちとしてはレブロンの雪辱を応援したくなるが、実際にはウォリアーズがキャブスとの相性の良さを見せつける。1、2戦目とレギュラーシーズンを思い起こすようなウォリアーズの圧勝。やはりキャブスではウォリアーズに勝てないのか、そんな考えが想起する。第3戦目は中外が機能してホームのキャブスが気持ちよく勝利。その勢いで成績をタイに持ち込むかと思いきや、第4戦ウォリアーズの3ポイントが火を噴く。敵地で1勝をもぎ取ったウォリアーズが3勝1敗と王手をかける。
多くの人がウォリアーズ・ホームでの第5戦で勝負は決まると思っていたことだろう。しかし、ここでキャブスのもう1人の超人カイリー・アービングが覚醒する。持ち前の器用なドライブ、ストップからのジャンプシュート、そして要所の3ポイントなどあらゆるシュートを叩き込み、レブロンと共に41点を奪い取る。それまでポストプレイからのキックアウトにこだわるキャブスを、ダブルチームで抑え込んでいたウォリアーズがアービングの縦のドライブを止められない。これはカンファレンス・ファイナルでのウエストブルックの活躍を思い起こさせた。ウォリアーズ・ディフェンス攻略の鍵は、ポイントガードによるドライブなのかもしれない。
貴重なアウェイでの白星を勝ち取ったキャブスが続くホームの第6戦もものにする。ボガットの負傷欠場が響いているのかもしれないが、この日もペイント内を攻略、続く3ポイントも好調だった。ウォリアーズは追い上げ時の3ポイントが悉く外れてしまい万事休す。カンファレンス・ファイナルとは逆の形で3勝1敗からの7戦目を迎えることになる。まさかキャブスが・・・いやいやウォリアーズに限って・・・そんな気持ちで運命の決戦が始まる。
ラストゲームは終始均衡した好ゲーム。どちらも最大10点差前後を付けることもあるが、タイムアウト後の戦術変更で追い付かれる。そして残り4分89対89の同点から無得点が続く長い長い3分間が始まる。お互いのオフェンスをぎりぎりのところで凌ぐ両チーム。その均衡を破るべく、残り2分を切ったところでボールを奪ったウォリアーズが得意の速攻。カリーからイグドラに繋いでレイアップで勝負あり・・・と思いきや、はるか彼方から飛んできたレブロンが完璧なブロック。レブロンはこのプレイで伝説になるのかもしれない。
ラスト1分を切ると、得点面で貢献してきたアービングがカリーに1対1を仕掛ける。アービングは、カリーに見せつけるかのような華麗なステップバックからの3ポイントを放つ。これが見事にゴールへ吸い込まれ、キャブスが3点をリードする。ここまでくると流れはキャブスに傾く。レブロンのとどめとなるダンクはファウルで外れたものの、フリースローでセイフティ・リードとなる4点目を加え、ウォリアーズに勝利した。ファイナルで1勝3敗からの逆転優勝は史上初とのこと。フロアに倒れ込んで泣き崩れるレブロンの姿に誰もが大きな感動を覚えたことだろう。カリーとレブロンの戦いはまだまだ続くだろうが、これだけ予想を覆し続ける両者の戦いは今後も目が離せない。