11月半ばに世田谷区・杉並区の京王線沿線の住民向けに都市計画変更に伴う素案説明会が開催された。京王線における都市計画について、よい機会なので軽く調べてみた。正確なタイトルは『京王線連続立体交差化・複々線化および関連側道の都市計画素案等の説明会』というものになる。連続立体交差化というのは、交差する線路と道路のどちらかを高架化、または地下化によって立体的に交差させる事。主な目的は渋滞の要因となる踏切をなくす事である。以前、京王ではこの立体交差化を断念し、運賃値下げに踏み切った経緯があるらしいが、その計画の復活という事になるのかな。
今回、説明された計画を簡単にまとめると、仙川?笹塚間を連続立体交差化し、つつじヶ丘?笹塚間を複々線化するという内容。方法としては、高架化・地下化・高架地下併用の3案があり、コストの観点から最後の併用案で進める予定。尚、2012年度に都市計画決定、2013年度に事業認可、そして2022年に連続立体交差化の完成を目指すとの事。複々線化は地下化にて実現予定らしいが、連続立体交差化完了後に具体化するという長期計画。また、明大前・桜上水・千歳烏山の駅などは2面4線の高架駅にする計画もある模様。
在来線高架化の具体的な施工方法は、南側に敷地を増やして高架線を準備する。最終的には現在の上り線部分(北側)が鉄道付属街路として利用される事になる。南側の住民はどのエリアが敷地として利用されることになるのか、そして北側の住民は高架化による日当たり問題と鉄道付属街路による生活の変化が気がかりとなる。更に工事中の騒音、鉄道そのものの騒音、鉄道付属街路敷設による自動車の騒音や排気ガスなども、見落とせない懸念点である。現状との変化をどれだけ公平に判断できるのかも難しいし、そもそも補償の対象に含まれるものなのか。
先行事例として小田急線における高架化の問題がよく引き合いとなる。計画における期間も小田急線のそれと酷似しているので、いろいろ面で参考にしているのだろう。小田急線のときも相当な騒動があったようだが、現状に満足している人ほど環境の変化に対して抵抗が強くなる。説明を聞いていて感じたのは、その環境の変化がどれだけ自分の生活に影響するのが読み切れない点。利点の方が多ければ当然賛成派も増えるはずだが、その判断を出来る材料がいつ揃うかもわからない。それが揃う頃には決定を覆す時期を逸していそうな気もする。となれば、現在の時点で反対せざるを得なくなる人達が出てくるのも充分に頷ける話だ。